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最高裁判所第一小法廷 昭和33年(あ)2533号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人三浦徹の上告理由第一点について。

所論は違憲をいうが、所論のような場合が憲法七六条三項に違反するものでないことは、当裁判所大法廷の判例の趣旨とするところである(昭和二二年(れ)三三七号、同二三年一一月一七日大法廷判決、集二巻一二号一五六九頁)。それ故、所論は採るを得ない。

同第二点について。

所論の各証拠は、補強証拠としての価値がないわけのものでないのみならず、原審の是認した第一審判決には、偽造にかかる本件不起訴処分結果通知書が証拠として挙げられているのであって、補強証拠において欠くるところはない。それ故所論の違法は認められず、引用の判例にも違反するところはない。

同第三点について。

所論は事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第四点について。

所論は単なる法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、引用の判例は事案を異にし本件に適切でない。外国人登録法一八条一項二号に関する原審の判断は正当である。)

被告人の上告趣意第一点、第二点について。

所論は違憲をいうが、本件において補強証拠に欠けるところのないことは、弁護人三浦徹の上告趣意第二点に対する説示に述べたとおりであり、また記録上所論の各供述が強制、拷問、脅迫によったものであると認むべき証跡は何ら存在しない。それ故所論違憲の主張は、いずれも前提を欠くものであって採るを得ない。

同第三点について。

所論は判例違反をいうが、判例を具体的に示さないから、上告理由として不適法であり、論旨は結局事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

同第四点、第五点について。

所論は単なる法令違反の主張であって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、外国人登録法一八条一項二号に関する原審の判断は正当である。)

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 高木常七)

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